ハワイで誕生したパシフィック・リムの先駆け的レストラン

「パシフィック・リム」は、1980年代後半にハワイで生まれたフュージョン料理。イタリアンとフレンチをベースに太平洋周辺の地域の調理法をミックスさせ、シェフやレストランがそれぞれ独自の工夫を凝らした新しい料理のことだ。ハワイ産の新鮮な食材をふんだんに取り入れていることが特徴で、「ハワイ・リージョナル・キュイジーヌ」とも呼ばれる。ハワイ島北西部の高級リゾート海岸コハラに近い港町のカワイハエで、1988年に創業した小さなピッツェリアからスタートした「カフェ・ペスト」は、地元の食材を使ったハイクオリティな味わいが評判を呼び、創業後すぐにグルメ賞を受賞。店の名声が高まると同時期に巻き起こった、パシフィック・リムブームの火付け役として知られている。

ヒロ湾を望むオーシャンビューの贅沢なロケーション

その後カワイハエを離れ、ヒロ湾が広がるハワイ島の東海岸に移転。築後一世紀を経た建物が建ち並ぶノスタルジックなヒロのダウンタウンに1912年に建設され、「貴婦人」の愛称で親しまれる歴史的ビル「ハタビル」の中にあり、籐のイスが並ぶ店内は古き良き趣に包まれ雰囲気が抜群。天井が高く開放的な空間は、窓に映る真っ青な海がさわやかな気分にさせてくれる。ランチメニューはピザ、カルツォーネ、パスタ、リゾット、ホットサンドイッチなどイタリアンが中心。なかでも薪を使ったオーブンで焼くピザは、30種類以上のトッピングを自由に選ぶことができ、ピッツェリアから始まった店の歴史と実力が感じられる評判のメニューだ。周りがふっくらふくらんだナポリタイプの生地が、もちもちとしてクセになる。

ハワイならではの食材とシェフの感性が生む絶品の数々

ディナーメニューは前菜、スープやオリジナルサラダ、肉や魚を使ったメインのパシフィック・リムをはじめ、薪焼きピザやパスタなどが豊富に揃い、デザートやアルコールを含めたドリンク類も充実。アラカルトで自由にチョイスして楽しむのがおすすめだ。エグゼクティブ・シェフのケーシー・ハルペルンさんは可能な限り地元の農場や牧場、漁場へ出向いて新鮮な素材を集めており、ハワイでしかとれない希少なベリー類の「オヘロベリー」や、ヒロの北のハマクワの高地でとれる「ハマクワキノコ」など、ハワイならではの食材にインスピレーションを得たスペシャリティは料理評論家や食通のローカルに絶賛されている。ぜひディナーに訪れて、この店とシェフの真骨頂を心行くまで体感したい。