【ハワイを楽しむ50の方法】Vol.13 世界遺産、キラウエア火山を訪れる

【ハワイを楽しむ50の方法】Vol.13 世界遺産、キラウエア火山を訪れる


大地の裂け目から滔々と流れ出す溶岩流。黒々としたそのうねりは一

見静かだが、その内奥には灼熱のラーバ(溶岩)がたぎっている。黒く冷え固まった溶岩の割れ目に筋のように見える赤い溶岩は、まるで地球の血管が脈打っているかのよう。そんなハワイの大地の営みを間近で感じることができるのが1987年、ハワイ州で唯一の世界遺産に登録されたハワイ火山国立公園。その中心をなすのは今も活発に活動を続けるキラウエア火山だ。ハワイの神話に登場する神々の中で最もよく知られているのが、火の女神ペレ。彼女が住みかとしているのが、ほかならぬキラウエア火山のハレマウマウ火口だ。ペレは気まぐれで怒りっぽい女神とされ、神話の中では、怒りにまかせて溶岩で人を焼いてしまったり、街を飲み込ませたりしている。また、夫婦ゲンカで、ハワイ諸島を壊滅に陥れるような争いをしたともいわれる。このようにペレは、手がつけられない荒ぶる神ではあるのだが、文字どおり大地を揺るがすキラウエアの力強さに触れてきたハワイの人びとは、古代から畏敬の念をもって崇めており、現在でもキラウエアのクレーターには花や供物が捧げられている。ペレと一緒にいるとケンカが絶えず、そのたびにハワイの島々を壊滅状態にしてしまったことから離れて暮らすようになった夫、カマプアアはオアフを治める半神半人だった。人の姿のときには美しい青年だが、神の姿のときは豚やカワハギの一種であるフムフムヌクヌクアプアアという魚の姿をしている。そのため今でもペレの供物として豚やこの魚を捧げる習慣が残っている。

ペレがこうした崇拝を受けるのも現地での迫力を体感すれば納得できるはず。キラウエアは絶えず活動をしており、たびたび島の大地をふるわせ、溶岩を流れ出させている。噴き出た溶岩の一部は海に流れ込んで固まり、1986年から2007年の間だけでもハワイ島の面積は実に1.96k㎡も増えている。もっとも長年大規模な噴火を起こしていないことから、火口や溶岩の流出口の間近での観察が可能。幸運にも噴き出した溶岩が海へと流れ落ちていくところに立ち会うことができれば、灼熱の溶岩が盛大に水蒸気を立ち上らせる様を見ることができる。カマプアアや水を操ることができたといわれるが、昔の人がふたりの夫婦ゲンカを水と火の争いになぞらえたのも、こうした場面を見たからかもしれない。

[DATA]

ハワイ火山国立公園(キラウエア火山)

Hawaii Volcanoes National Park

交通:コナ国際空港から東へ車で約2時間30分、ヒロ国際空港から西へ車で約50分

料金:車1台につき10ドル(7日間有効)

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