ホオポノポノの教えで被写体にも変化が。高砂淳二さん(自然写真家)【前編】
アロハ!
ハワイ文化ナビゲーターのアロヒナニです。
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栄えある第一回目は自然写真家・高砂淳二さんをご紹介します。
高砂さんといえばムーンボウの写真が人気ですが、最新写真集について、そしてハワイへの想いなどをお伺いしました。
地球上に住む兄弟姉妹をリスペクト。すべての生命に光を
– 最新写真集「LIGHT on LIFE」(小学館刊)についてですが、タイトルはどのようにして考えたんですか?
この仕事はもう30年くらいになりますが、風景や生き物を撮ったりしている中で、2000年頃ハワイにしばらく滞在した際にカイポさん*注1に出会ったんです。
カイポさんからホオポノポノ*注2や自然との付き合い方を教えてもらって、ハワイがとても深いんだということを知り、そこから写真の撮り方に変化が出てきました。
それまではガンガン撮っていたけれど、生き物や大地に対して愛情を持って撮るようになったんですね。
そうすると被写体にも変化が出ました。
アプローチの仕方が変わると向こうの反応も変わるということを体験しました。
天気が崩れて思ったように撮影ができないときも、そういう天気にもいい面を見つけるようにすると、大地や風景もこちらに微笑んでくれる。
天気が悪くなったからもうだめだという感覚もなくなって、天の喜怒哀楽をとらえるのが楽しくなりました。
二年前は、「Dear earth」(パイインターナショナル刊)という風景の写真集を出したんですが、大地、海、山、地球の最高の姿を撮ったわけですけど、それが終わって次は地球上に住む兄弟姉妹を撮ろうと、生きものだけじゃなくて生命体を撮ろうと思ったんです。
それまでも生き物を撮っていましたので、そういうものをまとめた写真集を出そうと。
小さな命も大きな命も同じだということや、植物のように動かないものにも愛情をもつ、生命に光を当てるという意味合いで「LIGHT on LIFE」にしました。
– 大地そのものではなく、今度は大地の上の生命へと視点をシフトされたんですね。
2年前の写真集がどうして「Dear earth」だったかというと、2011年に震災がありましたが、実家が石巻だったので津波にやられてしまい、気持ち的に風景を撮る気持ちもなくなってしまったんですね。
でもこれではダメだなと思って、また撮り始めました。
温暖化やゴミの問題など環境がどんどん悪くなっていますよね。
地球を全然リスペクトできてない、愛情をかけていない、資源を粗末に扱っている人たちがいる。
僕の気持ちの根底にはホオポノポノ的な考えがあって、自然や大地に常に愛情、リスペクトを持っています。
そういったことを人に話せる機会があればなるべく話すようにして、みんなに気づいてもらおうということをずっとしています。
高砂流イルカとコミュニケーションを取る方法
– イルカのジャンプの写真はどこですか?
ハワイ島コナの沖ですね。
船でダイビングの合間に撮ったものです。
スピナードルフィン(ハシナガイルカ)はこんなふうにジャンプするんです。
– これは遊んでいるんですか?
色んな説があるんだけど、僕が思うには遊んでいる。
– イルカとどうやってコミュニケーションをとるんですか?
泳いでいるときは向こうも好奇心を持って近づいて来るので、こっちもおもしろい動きをしたりする。
こっちがつまらなそうにしてると、向こうもどこかにいっちゃう。
向こうから来たときにこっちから向かっていくと逃げちゃうので、一緒に泳ぎながら近づく。
基本イルカもそうだけど、アシカもアザラシも遊び好きです。
哺乳類は好奇心旺盛で、中でも子供たちは好奇心旺盛ですね。
人間と同じです。
なるべく警戒心を解いて、好奇心をくすぐるようにしてあげるといいんですね。
– 探そうと思って出かけるわけじゃなくて、出会ったものすべてが被写体ですか?
そうですね、探そうと思って出かける意識のときもありますが、基本は見た中で撮っていて、気持ちをオープンにしておくと、いろんなものが目に入ってくる。
葉一枚でも、こういうところに宇宙っぽい模様があるなとか、命の不思議を感じて撮ったりしています。
植物も人間も自然界の循環の中で生きている
– このランの花、まるで精霊みたいですね。
そうですね。
人から見ると植物は時間のスパンが違うんですよね。
植物は動いていないように見えるけど、早回しにすると動いている。
芽が出て花が咲いて散ってという一生がある。
時間の違いなんですよね。
私たちからは止まって見える。彼らの時間で見れば動いているんです。
世の中には菜食主義の人もいるし、インテリジェントだからという理由でクジラを捕ることに怒る人もいるけれど、別の視線から見ると、じゃあ植物だったらいいのでしょうか?
自然界は食ったり食われたりする中で回る。
私たちも命を食べないと生きていけない、そういうシステムができている。
たとえば植物はある病気に効いたり、熱を冷ましてくれたりする。
そういうことを考えれば、食べられたり薬になる役割もある。
– これはシダですか?
ハワイ島のボルケーノの近くで、ヘゴというシダの一種ですね。
このときは雨の後で霧もあった。
水分と命はすごく関わりが深い。
地球の上を水はぐるぐるずっと回っている。
海の水が蒸発して雲になって、雲がだんだん厚くなって雨を降らす。
雨が降ったら山に入って土を湿らせ、その土から植物に呑み込まれたり、あるいは人間が使ったり。
土からまた海に戻って、上に上がって循環する。
水は地球のいろんな生き物の中を通り抜けて命に息吹を吹き込みます。
水がないと生命は保たれないし、水は命の源です。
ですから、水の循環も意識して撮っています。
この写真は珍しく水滴が並んでいたんですよね。
この写真は、葉脈もあって、生きているんだなと感じますね。
そういう視線で自然を見るとおもしろいですよ。
– 動物だと主張があるけれど、植物は撮るのが難しいです。
なぜ撮りたいと思ったのかを掘り下げるといいですね。
そういう想いでいるといろんな命が見えてくる。
高砂さんが被写体にカメラを向けるとき、常に心にあるのは愛とリスペクトの気持ち 。
だからこそ、高砂さんの写真は私たちを癒し感動させてくれるのでしょう。
後編はアロハについて、ハワイで上手に写真を撮るためのアドヴァイスなどをお伝えします。
お楽しみに!
*注1 カイポ・カネアクアさんは、ヒーリングのカフナ(専門家)。カイポさんとの出会いは、高砂さんの著書『night rainbow 祝福の虹』やエッセイ集「夜の虹の向こうへ」小学館刊に書かれている。
*注2 ホオポノポノとは古代ハワイから伝わる癒しの方法。現在ではいろいろな手法があるが、もともとはすべてのものと調和することで「ポノ(正しい)」でいられるという考えが基本になっている。
高砂淳二さんプロフィール
高砂淳二 オフィシャルウェブサイト:http://www.junjitakasago.com
高砂淳二 facebook page : https://www.facebook.com/JunjiTakasago
自然写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。
ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。
海の中から生き物、風景まで、地球全体をフィールドに、自然全体の繋がりや人とのかかわり合いなどをテーマに撮影活動を行っている。
著書は、月の光で現れる虹を捉えた写真集「night rainbow ~祝福の虹」(小学館)をはじめ、「虹の星」、「free」、「BLUE」、「life」(ともに小学館)、「ハワイの50の宝物」(二見書房)、「Dear Earth」(パイ インターナショナル)など多数。
最新刊は、「LIGHT on LIFE」(小学館)。