ハワイでローカル女性の間で最も人気のあるブランドの一つが、ホノルル発ファッション＆ライフスタイルブランド、ファイティング・イール（Fighting Eel）ではないでしょうか。
現在、オアフ島ダウンタウン、カハラモール、カイルア、カポレイに４店舗の直営店を構え、2024年8月に行われたコンベンションセンターでの一大イベント、メイド・イン・ハワイ・フェスティバル（Made in Hawaii Festival）では、ファイティング・イールが初出店ということもあって、長蛇の列をなしていました。
2003年に設立されたファイティング・イールは、なめらかでモダンなジャージー素材にオリジナルのテキスタイルプリントが施され、洗練されながらもフェミニンなスタイルが特徴的。
ハワイでは、リゾートウェアもしくはハワイアンウェアがメインストリームを成していた当時、ファイティング・イールは都会でもリゾートでも着用できる新しいスタイルをハワイで確立したパイオニア的存在なのです。
そしてこのジャージー素材のコレクションはデザインだけでなく、カットから縫製までダウンタウンのオフィス内で行われている正真正銘のメイドインハワイのアイテムです。
　ファイティング・イールを一代で築いたのがオーナーデザイナー、ラン・チュン（Lan Chung）さん。
ベトナム出身のランさんは、5歳の時に香港へ亡命。
2年間香港で過ごした後に、家族と共にハワイへ移住しました。
ハワイ大学では、ファッションやプロモーションを学び、卒業後に当時アラモアナセンターにあったフランス発アパレルブランドに就職しました。
7年間ストアマネージャーとして活躍したランさんでしたが、そのショップが2003年に閉店という不運に恵まれます。
そこで、フォトグラフィーをバックグラウンドにもつルームメイトと共にファッションブランドを立ち上げようと、リビングルームの狭い空間からファイティング・イールはスタートしたのでした。
まさにピンチはチャンスという状況だったのです。
初めてのコレクションについて、ランさんはこう語ってくれました。
「2003年に発表したコレクションは、大失敗だったわ。
サンプルを作ってバイヤーに見せてから本生産するというアパレル業界の常識を知らなくて、いきなり1500枚もの洋服を作ってしまい、それが全く売れなかったの。
仕方なくカリフォルニアに行って、レンタカ…