ハワイにおけるカウボーイの誕生は19世紀初頭のこと。アメリカ本土の西海岸で活躍したウエスタン・カウボーイの歴史より半世紀も早いことになる。1793年にイギリス人のジョージ・バンクーバー船長が初めてハワイ島に牛を運び込み、家畜の飼育がはじまったことがきっかけだ。

 

その後、野放図に増え続けた牛を管理する人材が必要になり、一計を案じたカメハメハ3世は、1832年にスペイン・メキシコ系のカウボーイをハワイに多数移住させた。このときやってきた入植者たちはスペイン語で「スペイン人」を意味するエスパニョールと呼ばれ、それがやがてパニオロと変化し、現在でもハワイでは牧童をそのように呼んでいる。

現在でも牧場へ行けば、本物のパニオロに出会うことができる。たとえば、ビッグ・アイランドならパーカー牧場。ハワイ州最大、全米でも屈指の大牧場で、その総面積は約700｢3。160年以上の歴史を誇り、約250頭の馬、3万頭の牛が放牧されている。

ここでの約2時間の乗馬体験では、馬上からマウナ・ケア、マウナ・ロア、フアラライの山々が望め、ビッグ・アイランドならではの壮大な風景を満喫できる。午前、午後、夕暮れ時と時間を選択できるのも便利。

オアフ島ならクアロア牧

場へ。空に向かってそびえる山々、緑豊かな草原、きらめく海と、スケールの大きな光景が広がっている。乗馬の1時間コースならカネオヘ湾や、古代養魚池など、牧場敷地内をゆったりと並足でめぐる。1日1回の2時間コースでは、太平洋を一望する高台から映画『ジュラシックパーク・ロストワールド』のロケ地も訪れる。ハワイの自然とスピリット、そしてパニオロたちの歴史を全身で体験できるはずだ。