ハワイで唯一の世界遺産「ハワイ火山国立公園」の見どころを解説
ハワイ火山国立公園はハワイ州唯一の世界遺産で1987年に登録された。最も活発に活動していると言われるキラウェア火山を始めとした、この広大な国立公園の楽しみ方を紹介させていただこう。
もくじ
トーマス・ジャガー・ミュージアム/Thomas A. Jagger Museum
キラウェア火山の研究のため、初めてハワイを訪れたアメリカの火山学者トーマス・A・ジャガーが、弁護士でありビジネスマンであったローリン・サーストン氏などの援助を得て、1912年ハレマウマウ火口の縁に火山観測所を建てハワイの火山の研究を確立した。この観測所での研究の成果や、火山に関係するハワイの神話などを広く知ってもらうため、1985年に建てられたのが「トーマス・ジャガー・ミュージアム」だ。
館内には火山の写真や、キラウェアの噴火の歴史や、火の女神ペレの神話などが詳しい説明と共に展示されている。さらに冷えて固まった溶岩の実物標本などが展示されているが、なかでも溶岩が涙型に固まった「ペレの涙」や溶岩が風に飛ばされて糸のように伸び、細い繊維状に固まった「ペレの髪の毛」は必見だ。
またハレマウマウ火口やマウナ・ロアに設置された地震計の測定値をリアルタイムで見ることも出来る。館内にはギフトショップもあり、火山に関する書籍やワッペン、Tシャツなどのグッズが販売されている。博物館の外には24時間開放されている展望台があり、天気が良い日にはキラウェアのカルデラ内のハレマウマウ火口から出る煙を見ることが出来る。日没後の赤色に美しく染まるハレマウマウ火口は必見だ。
トーマス・ジャガー・ミュージアム/Thomas A. Jagger Museum
- 住所:
- Hawaii Volcanoes National Park, Volcano, Hawaii
- 電話番号:
- 808—985-6000
- 営業時間:
- 10:00~20:00
- 定休日:
- 無休
サーストン・ラバ・チューブ/Thurston Lava Tube
火山国立公園にある溶岩トンネルはラバチューブと呼ばれる。これは噴火によって流れ出た溶岩流の外側が空気によって冷やされて固まる一方、外側で固まった溶岩に守られた内部では、熱を持った溶岩が流れきり、空洞となることでできる。ハワイ島にはラバチューブは大小合わせて数多くあるが、なかでも「サーストン・ラバ・チューブ」は最も大きく有名なもので、約500年前にできたことがわかっている。
この溶岩トンネルは歩いて見学することが出来、一周するのに20分程度かかる。オヒア・レフアや古代シダなどが生い茂る熱帯雨林の中を歩いていくとトンネル入口にたどりつくので、そこから溶岩トンネルへと入っていこう。入り口は鬱蒼としているがその内部は想像するより広く、少しひんやりとしている。所々に照明も設置されており、ラバチューブ表面の地質や溶岩流の痕などを見ることも出来る。水がしたたり落ちる天井の溶岩の割れ目からは植物の根が垂れ下がり、生命の力強さを感じることができるだろう。
また有数のパワースポットとしても知られていて、このラバ・チューブの中で写真を撮ると、その人のオーラが見える場所としても知られているようだ。底は平らで歩きやすいが水で滑りやすいのでスニーカーなどしっかりした履き物で訪れたい。この「サーストン・ラバ・チューブ」はダイナミックなハワイの自然を感じることの出来るパワースポットといえるだろう。
サーストン・ラバ・チューブ/Thurston Lava Tube
- 住所:
- Hawaii Volcanoes National Park
- 電話番号:
- 808—985-6000
- 定休日:
- 無休
キラウェア・イキ・トレイル/Kilauea Iki Trail
世界遺産のハワイ火山国立公園内にある「キラウェア・イキ・クレーター」の底を歩くトレッキング・コースが「キラウェア・イキ・トレイル・ツアー」だ。この「イキ 」という言葉はハワイ語で「小さい」という意味を持っているが、その名前の通り初心者にも楽しめる1時間ほどのコースで、クレーターの中を横切り、美しい森と溶岩大地の両方を一度に楽しめる周回コースになっている。
スタート場所はサーストン・ラバ・チューブの駐車場とキラウェア・イキ展望台の2箇所あるが、サーストン・ラバ・チューブの駐車場から右回りで進むと火口に最短のルートでたどり着くことが出来る。一方、サーストン・ラバ・チューブの駐車場やキラウェア・イキ展望台から出発して左回りで歩くと、最初は古代シダやオヒア・レフアが茂る鬱蒼としたの森の中を行き、トレッキングの後半で火口の溶岩台地を歩くことになる。この溶岩大地では、赤い実をつけ火の女神ペレの聖なる食べ物と言われるオヘロや、ペレが人間のカップルを花に変えたというオヒア・レフアなどが見られるが、オヘロに似たアキアの実は猛毒を持っているので、食べないようにした方が無難だ。
このトレッキング・コースは分岐が多いが、すべて火口のある左に行けば迷うことはないだろう。それでも心配な方や、詳しい説明を聞きながらトレッキングしたい方はハイキング・ツアーに参加すると良いだろう。
キラウェア・イキ・トレイル/Kilauea Iki Trail
- 住所:
- Hawaii Volcano National Park
- 電話番号:
- 808-985-6000
- 定休日:
- 無休
ヒロ発・火山と滝ツアー (パラダイス・ヘリコプターズ)/Hilo: Volcanoes & Waterfalls Extreme (Paradise Helicopters)
「ヒロ発・火山と滝ツアー」はヘリコプターに乗って上空から火山や火口を見学するフライト・ツアーだ。ヒロ空港とコナ空港から発着しているが、ヒロ発の方が火山に近いためツアー料金が安くなっている。また、パラダイス・ヘリコプター社のヒロ発のツアーにはドアを外してフライトするプランが設定されており、これを利用すると窓の反射に遮られることなく写真が撮れるほか、火山上空ではその熱も感じることができ臨場感たっぷりのフライトを体験できる。フライトの前にはブリーフィングルームに集合し、搭乗する機体の説明や救命道具の使い方の説明を英語で受けることになる。ヘリコプターに荷物を持ち込むことは出来ないが、無料で手荷物を預けられるロッカーがあるので安心。
ヘリに乗り込むとスタッフがベルトを締めてくれて用意が出来たら出発だ。パイロットの操縦は丁寧なので怖いということはない。火山地帯の方角へと向かい、溶岩に飲まれてしまったカラパナの上空や、現在最も活発に活動している噴火口、プウオオ火口上空を飛行するが、現在このプウオオ火口を間近に見られるのはヘリツアーのみとなっている。火山地帯を飛行した後、ヒロ・フォレスト保護区やヒロ・タウンの上空を飛行してヒロ空港へと戻る。ヒロ近郊はみずみずしい緑の中にたくさんの小さな滝が連なり、火山地帯との鮮やかなコントラストに目を見張るだろう。着陸後はグループごとにパイロットと記念撮影をしてくれる。ダイナミックなハワイ島の火山を間近に見たければお勧めのツアーだ。
ヒロ発・火山と滝ツアー (パラダイス・ヘリコプターズ)/Hilo: Volcanoes & Waterfalls Extreme (Paradise Helicopters)
- 住所:
- 2450 Kekuanaoa St, Hilo (ヒロ空港内・パラダイスヘリコプターカウンター)
- 電話番号:
- 808—937-9964
- 営業時間:
- 7:00~22:00
- 定休日:
- 無休
カラパナ・オーシャンエントリー(レンタル・サイクリング)/Kalapana Ocean Entry(Kalapana Lava Bike Rentals)
「カラパナ・オーシャンエントリー」とは、プウオオ火口から流れ出た溶岩が海に流れ込む大自然のスペクタクルを間近で見られる世界的に貴重な場所だ。もっとも近くで見られるのはボートツアーだが、$300前後と高額だ。
そこでお勧めしたいのがレンタサイクルを利用して、この「カラパナ・オーシャンエントリー」へアクセスする方法。ヒロから車で11号線、130号線と経由し、パホアの街を越え130号線の終点まで向かうと係員がいるので、指示に従って車を駐車。ここから「カラパナ・オーシャンエントリー」まで徒歩で片道2時間ほどかかるが、レンタサイクルなら片道1時間前後でたどり着くことが可能だ。
車を止めた先にレンタサイクルを扱う店がいくつか有り、1台15ドル程度から借りることが出来る。レンタサイクルの中にはブレーキが左右逆のものもあるので、必ず試乗してから決めるように。オーシャンエントリーまでの道路は砂利道で転びやすいので気をつけて運転しよう。また、水と日焼け止めは必需品だ。ルートの途中にはトイレが一カ所あるだけなので必ず用を足すことをお勧めしたい。
オーシャンエントリーに近づいたら、自転車を止めて見学場所まで歩いて行くが、同じようなレンタサイクルが多いので自分の自転車には何か目印をつけておくと良いだろう。夕方到着するように出発するのがお勧めだ。暗闇の中を海に流れ込む溶岩は、迫力ある地球の生命を感じることが出来るだろう。
カラパナ・オーシャンエントリー(レンタル・サイクリング)/Kalapana Ocean Entry(Kalapana Lava Bike Rentals)
- 住所:
- 12-5038 Kalapana Kapoho Rd Pahoa
- 電話番号:
- 808—345-4964
- 営業時間:
- 7:00~19:00
- 定休日:
- 無休
ハワイ火山国立公園は総面積1335平方メートルの広さがあり、一日ですべて観光することは不可能だ。しかしそれだけ楽しみ方があることも事実で、上空から見てもクレーターを歩いてみてもそのスケールには圧倒されることだろう。是非一度は訪れてその魅力に触れてみていただきたい。