【最終話】ハワイ王国 母と娘の物語 〜母・ケオプオラニ、娘・ナヒエナエナ〜 第7話

【最終話】ハワイ王国 母と娘の物語 〜母・ケオプオラニ、娘・ナヒエナエナ〜 第7話

Aloha! 『Surf Room ~ハワイの歴史を旅しよう~」担当、ハワイ歴史と神話の愛好家のMari Udagawaです。

今回は、「ハワイ王国 母と娘の物語」シリーズの最終話をお届けします。

ハワイ王国 母と娘の物語 〜 母・ケオプオラニ、娘・ナヒエナエナ〜 第6話はこちら!|LaniLani

母は望んだだろうか

月桃

ハワイに咲くこの写真の花はシェルジンジャー。
沖縄では月桃と呼ばれ、この花には兄と妹の伝説がある。

兄・カメハメハ3世との結婚後にナヒエナエナ王女に届けられた手紙がある。
そこには2人の母・ケオプオラニ妃の思いが代弁されていた。
敬虔なクリスチャンとなることを母は兄妹に望んでいた。

その手紙を読んでナヒエナエナは号泣したという。
ナヒエナエナは母が兄との結婚を望んでいないことを感じていたし、その手紙によりそれは揺るぎないものとなった。

それでもなぜナヒエナエナは兄との結婚という道を選んだのだろうか。

世継ぎの誕生

プルメリア

1834年夏にカメハメハ3世と結婚したナヒエナエナ王女はその年の秋に妊娠したという記録があるが、子供が誕生したとは記されていない。

翌年11月、ナヒエナエナはある男性王族と結婚している。
宣教師に勧められて結婚した相手は6才年下のレレイオホクである。

1836年春、再びナヒエナエナは子供を授かる。
父はカメハメハ3世か、レレイオホクか。
どちらもナヒエナエナのお腹の子供の父は自分であると宣言している。

しかし母となるナヒエナエナはお腹の子の父がどちらなのかは知っている。

父・カメカハメハ大王が望んだ高貴な血のその純血性を守ること。
母・ケオプオラニ妃が自ら招き入れた新しい時代の象徴ともいえるキリスト教。
それは父王が望んだものに真っ向から対立し、否定しするものであった。
父の遺志、母の願い、兄への思慕とに翻弄されたナヒエナエナ。

大きくなるお腹を見つめて何を思ったのだろうか。
生まれてくる子は神にも匹敵すると言われた兄妹を両親に持つこの上なく高貴なハワイの王家の血筋を受け継ぐ。

出産が近付いたナヒエナエナを兄・カメハメハ3世は自らラハイナに出向き、ホノルルへと連れて来た。
この頃のナヒエナエナに関する記述を読むと、母となる日が近付く中で大人の自覚を得、母性に目覚めてゆくナヒエナエナはもう無邪気な少女ではなかったと感じる。

そして9月、ナヒエナエナは男の子を出産する。
ハワイ王国の世継ぎの誕生だった。
父となったカメハメハ3世はすぐさま生まれた子供を次期王に指名したのだったが、わずか数時間で子供は息を引き取ってしまった。

悲劇の王女

ナヒエナエナ

それからナヒエナエナは床についたままの日々を過ごした。
出産後体調は回復せず、体だけでなく、心も傷を負ったまま月日だけが過ぎてゆく。
愛する兄王・カメハメハ3世の来訪にもだんだんと上の空になっていったという。

出産から3か月余、18361230日。
ナヒエナエナ王女、逝去。21歳。

カメハメハ大王をはるかに凌ぐ高貴なハワイの王族・ケオプオラニが新しい時代を生きてほしいと願って、生涯最後の出産と決意して生んだナヒエナエナ王女。
ケオプオラニが自らの手で慈しみ育てた娘は古のハワイに生まれ、新時代を迎えようとするハワイに生き、その過渡期の渦に飲み込まれるようにして短い生涯を閉じた。

母と娘が眠る場所、ワイオラ教会

墓碑

ラハイナのバニヤンツリーから出発した「ハワイ王国 母と娘の物語 母・ケオプオラニ、娘・ナヒエナエナ」。
終着点はバニヤンツリーからも近いワイオラ教会です。
ワイオラ教会はケオプオラニ妃の力添えがあり建てたられた教会で、青い芝生が美しく、教会敷地内にはプルメリアの甘い香りが漂っています。

この教会にある王家の墓所に母と娘、おそらく生後すぐに亡くなった王子も眠っています。
母と娘は天国でどんな話をしたのでしょうか。
激動の20年余を生きた娘を、母はやさしく抱きしめたに違いありません。

ワイオラ教会はいまもハワイ王国のままです。
イオラニ宮殿、ロイヤルモザリアムと並び、星条旗を掲げることなくハワイ王国旗のみを掲揚できる数少ない場所のひとつとなっています。

写真左の墓碑にケオプオラニ妃とナヒエナエナ王女の名前が刻まれています。

右の白い墓碑はカウムアリイのお墓です。
カウアイ島の王のお墓がなぜマウイ島のラハイナに?と思われますよね。
第四話でお話ししたように、ケオプオラニ妃と友情で結ばれたカウムアリイは、ケオプオラニ妃のそばで眠ることを願い、叶えられたのでした。

ワイオラ教会はケオプオラニ妃とナヒエナエナ王女のほかにもハワイ王国を生きた王族が静かに眠る場所です。
ぜひラハイナにお越しの際には足を運んでみてください。
いまもハワイに残るハワイ王国に。

ハワイ王国 母と娘の物語 完

優しい灯りで夏の夜を

本

夏の夜、涼しい部屋で読書はいかがでしょうか。
ナヒエナエナ王女の本も出版されています。

夜の読書にやさしい灯り、ソネングラス。
▶ https://sonnenglas.jp/

ソネングラスは美しいガラス瓶でありながら、太陽光で充電できるとてもエコなアイテムです。
私は砂と貝殻を入れてビーチをイメージしてみました。
お食事のテーブルに、ラナイでのひとときにぜひソネングラスをそばに置いてみてください。

その灯りにきっと癒されるはずです。

ハワイ王国 母と娘の物語 〜 母・ケオプオラニ、娘・ナヒエナエナ〜 第1話|LaniLani

ハワイ王国 母と娘の物語 〜 母・ケオプオラニ、娘・ナヒエナエナ〜 第2話|LaniLani


ハワイの歴史を知ると、ハワイを見る目が変わる。もっとハワイを好きになる!
現地を旅するように、ハワイの歴史や神話をお話し、ハワイと日本の歴史的・民族的な繋がりや共通点もたくさんご紹介します♪

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Mari Udagawa
著者:Mari Udagawa

ハワイの歴史と神話の愛好家。 オアフ島現地ツアー手配歴3年。
趣味は野球観戦と百人一首の研究。 特技はY字バランス。
ライフワークは「ハワイと日本を結ぶ、繋ぐ」。

旅ハワイを運営しています。

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