ストーリーを語りたくなる逸品「ハワイの伝統工芸」を身に付けよう
ハワイには多くの伝統工芸品があり、それぞれが受け継がれている技術や歴史を持っている。今回はハワイの伝統工芸品のエピソードを紐解きながら、つい身に付けたくなるハワイアン・アイテムを3つ紹介しよう。
ラウハラ細工/Lauhala
ハワイでよく見かける細長い葉っぱを持つ植物「ハラ」。ハラは英語でパンダナスと呼ばれており、熱帯地方の海辺でよく見られるタコノキに属する植物。この植物の葉を編み込んで造られたのが「ラウハラ細工」だ。ラウハラの「ラウ」はハワイ語で「葉」という意味である。このラウハラ細工、ハワイでは古い歴史を持っており、カヌーの帆に使われたり、かやぶきの屋根にも使われていたといわれている。今では手作りの伝統工芸品として売られているのを見かけたこともあるだろう。
ハワイ島にある「キムラ・ラウハラショップ」はラウハラ細工の有名店。このラウハラ細工はとても手のかかる作業を必要とし、材料のハラを集めるときにも、自然を大切にするハワイアンは幹についた葉ではなく、枯れ落ちたハラの葉だけを拾い集めてくる。
集めた葉の両脇に付いた鋭いトゲを切り落とし「クカア」と呼ばれるロール状に加工。さらにクカアを柔らかくするために何度もなめした後、「ラウハラ・ストリッパー」と呼ばれる専用の道具を使い、必要な幅へと裁断し、編み込む作業へと移っていく。
この編み込みも非常に手間がかかる作業で、隙間無く編み込まれたラウハラ細工は、それは美しく、自然の優しさを感じられる工芸品だ。自分でつくっても楽しいので、ロイヤルハワイアンセンターで行われているラウハラ編みのレッスンなどに参加して、自分だけのラウハラを編んでみれば、でき上がった作品に愛着がわくだろうし、より興味を持てるだろう。
キムラ・ラウハラショップ/Kimura Lauhala Shop
- 住所:
- 77-996 Hualalai RD, Holualoa
- 電話番号:
- 808-324-0053
- 営業時間:
- 9:00~17:00、土曜 9:00~16:00
- 定休日:
- 日曜
フィッシュフック/Fish Fook
フィッシュフックとは「釣り針」のことだが、ここで紹介するのは魚を釣るときの釣り針のことではない。映画『モアナと伝説の海』でマウイが持っていた「魔法の釣り針」をイメージするとわかりやすいだろう。動物などの骨を削って造られているため「ボーン・カービング」などと呼ばれることもあるが、ハワイ語では「ヘイ・マタウ(Hei Matau)」と呼ばれており、ヘイ(首からぶら下げる)、マタウ(釣り針)でフィッシュフック・ネックレスという意味である。
このフィッシュフックは古代ハワイから存在し、ホノルルにある博物館「ビショップミュージアム」にも展示されている。海洋民族だったハワイアンにとって、命の糧である魚を獲る為にフィッシュフックはとても大切な物だった。
さらに万が一海に落ちても、フィッシュフックが命(ハート)を引き上げてくれるという言い伝えから、命をつなぎ止めるお守りとして身につけていたという。現代では旅の安全を願い、幸運や夢を釣り上げる目的のアイテムとして大切な人へのプレゼントとされることも多い。
ショップではハワイの固有植物「コア・ウッド」や、牛などの骨、翡翠(ひすい)などの天然石、さらに貴金属で造られたハワイアンジュエリーなどが販売されている。マウイ島のラハイナがハワイの首都だった時代には、鯨の骨や歯、海洋生物「一角」の角などで作られた物もあり、今でもマウイ島のアンティークショップ「ホエラーズ・ロッカー」などでお目にかかれることもある。
身につけるときにはフックが心臓のある左を向くようにつけるのがよいとされている。ハワイで気に入ったフィッシュフック・ネックレスを手に入れて身につければ、幸運をつり上げられるかもしれない。
ホエラーズ・ロッカー/Whaler’s Locker Inc
- 住所:
- 780 Front St Lahaina
- 電話番号:
- 808-661-3775
- 営業時間:
- 9:00~21:00 、土・日曜 10:00~21:00
- 定休日:
- 無休
ハワイアンジュエリー/Hawaiian Jewelry
「ハワイアンジュエリー」は伝統的な模様が美しく彫り込まれた装飾品のこと。正式には「ハワイアン・ヘアルーム・ジュエリー(Hawaiian heirloom jewelry)」と呼ばれ、家宝のように親から子、子から孫へと代々受け継がれていくジュエリーを意味している。
また、そのデザインも古くから受け継がれてきた物で、ホヌやプルメリア、波などの自然がちりばめられ、自然のすべてにマナ(気のようなもの)が宿ると考えるハワイアンの、自然に対する感謝の気持ちが込められている。
ハワイアンジュエリーのルーツは諸説あるが、一番語り継がれているのはイギリス王室に由来する話だ。1861年、夫のアルバートに先立たれたイギリス女王ヴィクトリアが、喪に服すために漆黒の琥珀で作ったモーニング・ジュエリーを身につけていた。イギリスと親交の深かったリリウオカラニは、ヴィクトリア女王の気持ちに寄り添うためにゴールドのブレスレットに黒色で「ホオマナオ・マウ(永遠の思い出)」と刻みモーニング・ジュエリーとした。これがハワイアンジュエリーの始まりと伝えられている。
ハワイアンジュエリーがハワイで一般に知られるようになったのは、1893年にリリウオカラニ女王が「アロハ・オエ」と刻んだブレスレットを恩師の女学校校長「ゾイ・アトキンソン」に贈り、これを見た女生徒達の間で話題となり広まったことから、という。
現在ではピンクゴールド、グリーンゴールドなど色も多彩にあり、女性だけでなく男性がつけてもおしゃれなアイテムもある。「プルメリア・ハワイアンジュエリー」など手軽な価格で買えるショップもあるので、ぜひハワイでお気に入りを見つけてほしい。
プルメリア・ハワイアンジュエリー・アウトレット/Plumeria Hawaiian Jewelry Outlet
- 住所:
- 334 Seaside Ave. Honolulu
- 電話番号:
- 808-922-3181
- 営業時間:
- 10:00~22:00
- 定休日:
- 無休
今回紹介したアイテムは、どのアイテムにもハワイアンの自然やオハナ(家族)を思う気持が込められている。それぞれが持つ歴史や思いと共に、これらのアイテムを身につけてみてはいかがだろう。