【2019年ハワイに行く人必見】マウナケア山で今起きていること
蒸し暑い夏がやってきました。
日本にいるとハワイのサラッとした暑さが羨ましいですよね。
中には、夏休みを利用してハワイに行かれる方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな方に知っておいて欲しい、ハワイ島のマウナケア山で起きている「TMT反対運動」についてお話しします。
ハワイ旅行に行く前までに収束して欲しいものです…
マウナケア山と望遠鏡群
ハワイ島には4,000メートル級の高山が2つあり、その1つがマウナケア山です。
雨季には山頂は雪で覆われ、女神ポリアフをはじめとする雪の神のテリトリーであり、聖地とされています。
この山頂付近は空気が澄んでおり、天候も安定しているため、11か国13基の天文台・望遠鏡群が設置されました。(日本のすばる望遠鏡もここにあります。)
しかし、ハワイの自然破壊への懸念や、ネイティブハワイアンの聖地であることなどから、これ以上の設置はしない事、するなら既存のものを壊すなどの取り決めが交わされました。
TMT(Thirty Meter Telescope)とは
参照:https://tmt.nao.ac.jp/know/publications.html
ところが、2009年に30メートルもの巨大な望遠鏡の建設が決定。(Thirty Meter Telescope =30メートル望遠鏡の頭文字を取ってこの巨大望遠鏡をTMTと呼びます)
このビッグプロジェクトには、アメリカ・日本・中国・インド・カナダの五か国が参加しており、この10年間TMT推進派とネイティブハワイアンを中心とした反対派が揉めに揉めてしまったのです。
まず、2013年にTMTのマウナケア山頂域保全地区利用許可(CDUP)がハワイ州により認められると、反対派は訴訟。
2015年にはCDUP承認差し戻しをハワイ州最高裁判所が決定し(使用許可取り下げ)、反対派優先。
TMT計画は棚上げになったかと思われました。
しかし、その間も推進派は公聴会を開いたり、環境保全の設計やハワイアンの文化に最大限の敬意を払う事に努めたりと、歩み寄りの姿勢も示していたのでした。
推進派がマウナケア使用許可の承認のために再び手続きをしたところ、2017年、ハワイ州が再承認。
反対派もこの再承認に対して再訴訟しますが、2018年、TMTのためのマウナケア使用許可は有効という最高裁判所の判断が出て、これによりTMT建設の手続きは完了。
今年6月、ハワイ州より建設許可がおり、デイビッド・イゲ知事は7月15日からの工事開始を発表しました。
武力ではないハワイアンらしい抗議運動とは
反対派は工事が始まる前の日に集結。
数百人が山頂への道に座り込み、抗議運動を展開しました。
その数は日に日に増え、警察との交渉も決裂、クプナ(年長者)ら38名が法執行官に逮捕される一幕もありました。(後に、すぐ保釈されました)
週末にはオアフ島でもTMT反対派支持者らのデモがあり、マウナケア山麓には総勢2,000人ほどの反対派が集まっています。
と言っても、ハワイアンは武力でなんとかしようという人々ではありません。
大地に横たわったり座り込んで、建設用車輌が通れないようにしたりしています。
また、これに対して、イゲ知事は「あらゆる人の安全のため」非常事態宣言を出しています。
推進派も反対派も平和裏な解決を目指しているが…
推進派も反対派も平和裏な解決を目指していますが、問題は両方が納得する折衷案がない事。
23日には知事も現地入りして、反対派ハワイアン達からレイやフラ、オリなどで温かく迎えられました。
反対派の活動が目立っているので、もしかするとイゲ知事やハワイ州が強行に進めているように見えるかもしれませんが、実は推進・賛成派は70%もいます。
TMT推進派は雇用やハワイの子供たちの教育、環境保全や文化に気を配り、前例のない地域への貢献(年間リース料の支払いでマウナケアの保護と管理にも使われる)など、かなり配慮がなされた提案がされています。
現在山頂への道を封鎖されているため、観光業で成り立つハワイはマウナケア山のツアーが行えないこともあり、結構な打撃を受けています。
そして、このプロジェクトの建設費用などは参加国である日本も当然費用を負担するのですが、建設費は総額で約1,800億!
建設が遅れるとそれだけまた費用がかかるということなので…複雑な問題ですが、早期解決を願っています。
マウナ・ケア山