【徹底解説】再生エネルギー100%の発電を目指すハワイの電力事情

【徹底解説】再生エネルギー100%の発電を目指すハワイの電力事情

太平洋の真ん中にポツリと浮かぶハワイ州。

今ハワイの電力をまかなうその方法ががらりと変わろうとしています。
今回は再生エネルギー100%を目指すハワイの電力事情についてお話しします。

ハワイの発電はその60%が石油

chris-leboutillier-TUJud0AWAPI-unsplash

日照時間も長くて天候が安定し、風もよく吹き、火山の地熱など自然資源に恵まれているハワイ。

ハワイ島内の電気はアメリカ本土から送られているものではなく、すべてハワイ諸島の中で発電されてきましたが、長い間石油を燃やす火力発電に頼ってきました。

石油での火力発電はコストが高くなるためアメリカ本土の州では全発電量に占める割合が1パーセント未満。

でもハワイでは輸送や貯蔵が容易で、さまざまな用途に使える石油への依存度は高く、2018年の総エネルギー消費量の84%、2020年では発電量の約60%を石油が占めています。

ところが最近多くなった自然環境の変化や石油の高騰などの影響から、ハワイでも化石燃料を使い続けることへの懸念や自然エネルギー導入を求める声が高まってきています。

何故ハワイは原発を選択しなかったのか

ilja-nedilko-aYvdJEGdsRc-unsplash

日本では再生エネルギー発電や石炭を燃やす火力発電に加え、原子力発電が行われています。

一方、ハワイでは1978年から、地震や津波などの災害が多いという理由から、原子力発電は州の憲法によって禁じられています。

これまで原子力発電を検討すべきだという声も一部から聞こえてきていたものの、2011年3月11日の東日本大震災と、この地震による福島第一原発事故をさかいにほとんど聞かれなくなりました。

2045年までに再生エネルギー100%を目指すハワイ

日本とハワイ、周りを海に囲まれた島国(ハワイは州ですが)というよく似た地理的条件を持つ日本でおこった自然災害と原子力発電所の事故。

さらに最近深刻になってきている温暖化による環境の変化という二つが、ハワイが石油にも、そして原子力にも頼らない再生エネルギーの社会をめざすきっかけになりました。

こうしてハワイでは再生エネルギー普及に向けた議論が数多く重ねられ、「2020年までに30%、2030年までに40%」にする目標が掲げられていました。

そして2015年、全米初となる「2045年までに再生可能エネルギーの割合を100%にする」という法律が可決され、同じ年の6月にデビッド・イゲ知事の署名を受け、正式な法律として制定されたのです。

しかし再生可能エネルギーの割合100%を達成するためには余剰電力の貯蔵や、再生エネルギー発電が自然や観光業に与える影響など、まだまだ多くの課題が残されています。

再生可能エネルギー100%を目指しているハワイ、やがて私たちが宿泊するホテルやレストランの電気だけでなく、レンタカーもすべて電気自動車になる日が来るかもしれません。自然を第一に考えるハワイらしい目標だと思いますが、みなさんはどう考えますか?

関連する記事