ハワイの歴史を語り継ぐホノルルのスポット5選
ポリネシアからはじめてハワイに人々が渡ってから今日まで、様々な歴史を紡いできたハワイ。もちろんホノルルにもそんなハワイの歴史を学べる施設は数多くある。そこで今回は、貴重なハワイの歴史を伝えるスポットを5つ紹介しよう。
もくじ
ビショップ・ミュージアム／Bernice Pauahi Bishop Museum
ハワイ州最大の博物館「ビショップ・ミュージアム」。敷地内には5棟の建物があり、この博物館でメインとなるのは本館だ。入り口を入ると左側にカヒリ・ルームがある。カヒリとはハワイ王族の証である鳥の羽で造られたポールのことで、ここには大小様々なカヒリが展示されている。
また入り口から右へ進むと中央が吹き抜けになった3階建ての展示エリアはハワイの歴史展示のメインとなる場所で、1階にはハワイの神々や伝説、神話について、2階はハワイに住む人々の暮らしと自然との関わり方について、3階にはハワイ王族の装飾品や、実際に王族が使っていた身の回りの品々が展示されている。説明はすべて英語だが、日本語で展示物の説明してくれるガイドツアーも1日に4回あるので、参加すればハワイの歴史を学ぶよい機会になるだろう。
ビショップ・ミュージアム／Bernice Pauahi Bishop Museum
- 住所：
- 1525 Bernice Street Honolulu
- 電話番号：
- 808-847-8291
- 営業時間：
- 9:00～17:00
- 定休日：
- 無休
イオラニ宮殿／Iolani Palace
「イオラニ宮殿」は元々オアフ島知事だったマタイオ・ケクーアナオアが、娘のヴィクトリア・カマーマルへの贈り物として1884年に建てた木造の大きな館だった。カメハメハ3世がホノルルへ首都を移すと、マタイオはカメハメハ3世にこの館を売却。この頃建物はハレ・アリイ（王族の館）と呼ばれていた。館はカメハメハ5世の時代に、5世の実の弟であり、兄に先んじて王位を継承したカメハメハ4世の名前から「イオラニ宮殿」と名付けられた。カラカウアが第7代ハワイ王国国王になった頃には建物の老朽化が進み修繕も検討されたが、シロアリの被害がひどかったため初代「イオラニ宮殿」は解体された。その後当時の金額にして＄35万を費やして現在のイオラニ宮殿が完成した。
この宮殿はハワイ王国の栄華を内外に知らしめるため最新の設備を施したもので、カラカウア王はパリの博覧会でエジソンと面会し、建設中のこの宮殿に電気式の照明設備を導入。さらにグラハムベルが発明した電話を導入し、執務室と王妃の部屋、さらに侍従長の待機室などをつないだ。他にも貯水タンクから水道管を引き水洗トイレを設置するなど、当時としては先進的な機能を積極的に取り入れた建物だった。
ハワイがアメリカ合衆国になった1959年、新たなハワイ州庁舎の完成と共に、それまで庁舎として使われ傷みのひどかったイオラニ宮殿の修復工事が行われた。また多くの調度品が行方不明となっていたが、調査、捜索が行われその多くが買い戻された。こうして復活した「イオラニ宮殿」は、ハワイ王朝の歴史を物語る重要な歴史的建物として公開されている。
イオラニ宮殿／Iolani Palace
- 住所：
- 364 S King St, Honolulu
- 電話番号：
- 808-522-0832
- 営業時間：
- 9:00～16:00
- 定休日：
- 日曜
カワイアハオ教会／Kawaiahao Church
現在「カワイアハオ教会」がある場所に初めて教会が建てられたのは1820年のこと。初めてアメリカからハワイに来たキリスト教宣教師のために、カメハメハ2世の摂政カアフマヌが払い下げた土地に、住居と礼拝の場を兼ねた藁葺きの小さな教会が建てられた。この教会は火災や嵐で3度の被害に遭い、カメハメハ3世の命令で当時最も頑丈な建材とされた珊瑚の石を使い1838年から新しい教会の建設が始まった。1842年に完成すると最初の礼拝には王族を含め5000人もの人が出席したと伝えられている。
この教会には王族と深いつながりを表すロイヤルボックスが礼拝堂の後方に設置され、王族の象徴とされる赤と黄色の鳥の羽でできた飾り「カヒリ」が飾られている。教会のシンボルである時計台の時計は、教会の設立に貢献したカメハメハ3世が贈った物だ。またカメハメハ4世とエマ女王の結婚が執り行われ、6代目の王ルナリロはここで戴冠式を執り行った。
2階にはカメハメハ大王からハワイ王国の最後の女王リリウオカウラニまで、21名のハワイの王族の肖像画が飾られている。「カワイアハオ教会」はハワイ王族とゆかりの深い教会なのである。
カワイアハオ教会／Kawaiahao Church
- 住所：
- 957 Punchbowl St., Honolulu
- 電話番号：
- 808-469-3000
- 営業時間：
- 9:00～16:00
- 定休日：
- 無休
ワシントンプレイス／Washington Place
ハワイ王朝最後の女王となった、リリウオカラニの終の棲家「ワシントンプレイス」。この建物は1847年にリリウオカラニの義父キャプテン・ドミニスが建てたもので、9歳だったリリウオカラニは完成直後のこの家を遠足で訪れたと伝えられている。その15年後、リリウオカラニはキャプテン・ドミニスの息子ジョン・オーウェン・ドミニスとの結婚を機に、この場所で暮らすようになった。
第7代国王カラカウアがサンフランシスコで客死すると、リリウオカラニは第8代の女王となるが、女王となった後も公邸であるイオラニ宮殿よりワシントンプレイスで過ごすことが多かったという。ハワイ王国が滅亡するとリリウオカラニはイオラニ宮殿に幽閉された後、このイオラニ宮殿で暮らすようになるが、リリウオカラニは自叙伝『ハワイの女王によるハワイの物語』の中で、「ワシントンプレイスはイオラニ宮殿と同じように住みやすい場所」と記している。
現在も室内は当時のままに、多くの曲が生み出された音楽室には女王が使ったコアウッドのピアノが置かれ、晩年を過ごした寝室とベッドも残されている。リリウオカラニが亡くなった4年後には甥のクヒオ王子によってこのワシントンプレイスは売却。1922年～2002年までハワイ州知事の公邸として使用されるが、敷地内に新たな公邸が完成すると、ワシントンプレイスは歴史的価値のある博物館として残されたのだ。
ワシントンプレイス／Washington Place
- 住所：
- 320 S Beretania St, Honolulu
- 電話番号：
- 808-536-8040
- 営業時間：
- 10:00～（見学ツアー、所要時間45分）
- 定休日：
- 土・日曜
パールハーバー／Pearl Harbor
ハワイアンの間ではプウロアと呼ばれていた「パールハーバー」。プウロアとはハワイ語で「長い陸」という意味だ。この頃パールハーバーにはpipi（ピピ）と呼ばれる真珠貝が多く生息し、1700年代後半にはこの周辺の港で真珠が発見されたという記録が残っている。その後カメハメハがここでの真珠の採取権を独占し、真珠はハワイ王国の貿易に欠かせない産物になっていった。しかし乱獲が続いた結果、このプウロア（パールハーバー）周辺で真珠は摂れなくなってしまった。
アメリカ合衆国の軍施設としてのハールハーバーは1876年カラカウアが国王の時代に端を発している。1876年、カラカウアはアメリカにハワイの産物の砂糖を輸出する際の関税をなくすと同時に、アメリカの工業製品を無税で輸入するという互恵条約をアメリカの大統領グラントと結ぶ。これによってサトウキビのプランテーションを中心にハワイの産業は栄えるが、富を手にしたのはすべてアメリカ系白人の財閥であった。
1887年になるとこの条約の更新条件としてアメリカは、パールハーバーの軍事利用独占使用権を強要。カラカウア王はこれを許してしまった。これによってアメリカの軍事基地となったパールハーバーは日本帝国軍の奇襲を受け、太平洋戦争へと歴史は繋がっていくのた。現在パールハーバーにはアリゾナ・メモリアルをはじめ、ミズーリ博物館や太平洋航空博物館など太平洋戦争に関係する施設が多いが、軍の施設が置かれる前の歴史を知れば、また新たな視点からパールハーバーを観ることができるだろう。
パールハーバー／Pearl Harbor
- 住所：
- Pearl Harbor Blvd, Honolulu
- 営業時間：
- 8:00〜17:00（各施設によって異なる）
- 定休日：
- 11月の第4木曜日、12月25日、1月1日
- 料金：
- パールハーバーパスポート 大人$65、子ども（4〜12歳）$35
ホノルルにあるハワイの歴史を学べるスポットを5つ紹介した。これらの施設は展示物だけでなく、施設そのものにも数多くの歴史が刻まれている。これらのスポットを訪れたなら、展示物だけでなく、施設の歴史にも目を向ければ、また新しいハワイを知ることができることだろう。
