アロハスピリット(アロハの精神)

アロハスピリット(アロハの精神)

ハワイの文化(アロハスピリット)

ハワイは単一民族の島ではない。古くはマルケサス周辺の幾多の島々から海を越えて渡ってきたポリネシア系の先住民が王国を形成していた。そこに白人が入ったことでそれまでの単一民族文化の価値観が崩れた。
さらに先住民族に後からハワイに来た白人や様々な国からの移民が加わることで、非常に多くの民族グループが生まれ、一つ一つの民族は単一では社会を動かすことが出来ないマイノリティとなった。その結果、それぞれの民族が互いに文化やアイデンティティーを受け入れ合い、相手の民族を尊重し、相手と調和し、礼儀を重んじ、謙虚に、忍耐を持って接することでハワイというコミュニティーを形成しているのだ。

また、ハワイには「オハナ」と言う考え方がある。ハワイ語で「オハナ」とは家族のことだが、ハワイでは血縁関係に縛られることなく、また人種、年齢なども関係なく自分の周りにいる親しい人たちをすべてこう呼んでいる。さらに知り合いや血縁でなくても年上の女性をアンティと呼び、男性をアンクルと呼ぶ習慣がある。このような習慣やオハナの精神と共に、様々な民族が助け合って暮らしてきた歴史的な背景から、ハワイのアロハスピリッツは育まれてきたのだろう。

 

ハワイ語

英語に加えハワイ州の公用語としてハワイ語が制定されたのは1978年のことだ。以降、学校でハワイ語の授業が行われ、正しくハワイ語を使うことが求められている。ハワイ語には13のアルファベットが使われ5つの母音と8つの子音から成る言語だ。

最もポピュラーなハワイ語はおそらく「ALOHA」だろう。ハワイに行ったことがなくても誰もが知っている「ALOHA」は「ALO」と「HA」の2つの単語から成っている。「ALO」は「分かち合う」等の意味を持ち、「HA」は「息」の意味である。この事から「アロハ」はハワイに伝わるおでこと鼻を付け合う挨拶「ホニ」を表していると考えられ、挨拶に使われるのも頷ける。またこの「アロハ」は本来、他の語を合わせて使う。例えば「おはよう」ならは「アロハ・カカヒアカ」となるが、この「カカヒアカ」も「カ」「カヒ」「アカ」の3つの言葉から出来ている。「カ」は定冠詞、「カヒ」は「少し」、「アカ」は「影」を意味し、「カカヒアカ」では東の空に太陽が昇り木々や建物などの影が薄くのびていく朝の情景を表している。他にも「こんにちは」は「アロハ・アワケア」、「こんばんは」は「アロハ・アヒアヒ」などといった具合だ。
さらにハワイの地名「ワイ・キキ」も、「ワイ(水)」と「キキ(湧く)」の2つの単語から構成され、水が湧き出す湿地帯だったことが解ることから、ハワイの地名も調べればその歴史がわかって楽しいかもしれない。

フラ

古代ハワイで宗教儀式としてフラ・パフが踊られていたが、これが打楽器に合わせて踊るフラの原型と伝えられている。文字を持たない古代ハワイでは様々な歴史や神話を歌と踊りによって後世に伝えるようになっていった。この古代ハワイアンのフラ・パフこそが、現在カヒコとよばれるフラの源流である。
カヒコ・フラはイプ(ひょうたん)やイリイリ(小石)、ウリウリ(殻と種)等が奏でる打楽器のリズムと詠唱(歌)に合わせて踊られる。一方ハワイに渡ってきた西洋の楽器とカラカウア王が復活させたフラが出会い、西洋楽器の伴奏と歌で優雅に踊られるものが「モダン・フラ」と呼ばれ、ハワイ語で「正道をそれる」という意味の「アウアナ」と呼ばれるようになった。フラの伝承施設をハーラウと言うが、これはハワイ語で(大きな建物)と言う意味だ。

初期のハーラウは集落で最も大きなカヌー小屋で、クム・フラと呼ばれるフラの指導者は、踊りなどの技術面だけでなく、精神面の修行も行っていた。フラの起源として「ラカの神話」や「ペレとヒイアカの神話」など、多くの神話や聖地が語り継がれているが、ハーラウごとにフラの原点とする神話や聖地が異なっているのは興味深い。こうして今日、フラは世界中で「フラ・ダンス」とも呼ばれるようになり、70年以降になると様々なフラ・コンテストが行われるようになるが、その代表がハワイ島で開催されるメリー・モナーク・フェスティバルだ。

レイ

レイはハワイ文化のひとつとして欠かすことのできないものだ。この文化は12世紀頃ハワイに渡ってきたポリネシア人によって伝えられたと言われている。現在は草花や木の実で創られている物が多いが、当時のレイは鮫や犬の歯で創られた「マカウ」、家族の髪を編んで創られた「レイ・ニホ・パラオア」など、地位の象徴や、魔除けの意味があった。ハワイと西欧の人々の交流が盛んになり外来植物が持ち込まれるようになると、様々な花をレイとして使うようになった。


観光客にレイを渡すようになったのはホノルル港に付いた船旅客に渡したのが最初と言われているが、その他にも誕生日やセレモニー、冠婚葬祭など様々なシーンでも用いられる。レイに使われる花の種類にはそれぞれTPOがある。また、その編み方も、花や葉を一列に重ね糸を通したシンプルなクイ・レイをはじめ、多くの編み方がある。
またレイを贈るときや受け取るときにもさまざまなエチケットがある。例えば、贈られたら断るのは禁物で相手と別れるまで身につけておく、胎児のへその緒に巻き付くイメージがあるので、妊婦にレイを贈る時には一本になっているオープン・レイを贈る、など。また、レイは手渡しせず相手にかけて贈る物なのだという。
役割を終えたレイは廃棄せず、自然に帰すかドライ・フラワーにする、などだ。ハワイに行くとレイを贈られる事があるので覚えておくと良いだろう。